うつ病の真実
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人気ランキング : 829位
定価 : ¥ 1,785
販売元 : 日本評論社
発売日 : 2008-04-23 |
うつ病についての現代的な議論点、すなわち
DSMの操作的診断の長所とミスユース
抗うつ薬が効くからうつ病なのか
双極性と単極性の違いは?
気分安定薬はどんなタイプに効くのか?
パーソナリティとうつ病の関係は?
また、うつ病には過活動があるという筆者の論は、少なくとも治療的にはきわめて優れたものと思われる。
うつ病学者、うつ病治療者、かつ優れたライターでもある。筆者が書いた現時点でのうつ病についての知識のコース料理。プロの勉強になる本であるが、一般向けにも書いたところがエライ。褒めちぎります。
本書は、雑誌「心の科学」(日本評論社)に平成17年3月号から平成20年3月号にかけて連載されたものを元にしている。
著者は冒頭で、うつ状態をあれもうつ病、これもうつ病と、なんでもかでもうつ病と診断する現代では適切な治療がおこなわれない結果、
うつが遷延してなかなか回復しない状況を何とか改善しなくてはとの問題意識を表明している。
次いで、そもそも、うつ病とは何なのか、進化生物学にはじまり、人類史をさかのぼり、
ギリシャ神話にみられる鬱の症状、ヒポクラテス、アリストテレスの記述などを紹介し、中世の魔女狩りを経て、クレペリンの躁鬱病、
現代に至るまでにうつ病とはいかなる病気ととらえられてきたのか概説している。
また、現代のうつ病概念や、DSM-IVの操作的診断基準の成立したいきさつ、治療法、今後の展望などについても解説している。
うつ病で悩む当事者や家族のための啓蒙書にとどまらず、一般の読者が読んでも満足する水準であり、うつ病の教養書といった趣です。
うつに関する情報が多くなり、新聞でも雑誌でもテレビでも特集が組まれる。
うつ病に関する認知度が高まって、ある面ではそれはいいことだと思う。
しかし、安易な解釈がまかり通っているのも事実だ。
本書は、うつ病の歴史から、文学にあらわれたうつ病などのエピソード、
現在の治療法、薬物……と、「うつ病」とはそもそも何なのかを探る。
野村先生は最近増えている「双極性うつ病」の権威でもある。
これは一種の「躁うつ病」で、「うつ病」と同じ治療をしても効かないばかりか悪化させることもある。
かなりむずかしいことも書かれているのだが、文章が実にわかりやすい。
スイスイと読めてしまう。
こんな先生にカウンセリングを受けたら、たいていのうつ病はかなり軽くなるのでは
という気にさえなる。
これまでの野村先生の本の中でもベスト1と言えるだろう。
キーワードは「安易」である。
治療者サイドで言えば、「ゆううつ」ということばが患者の話の中に少しでも入れば
「あなたはうつ病です!」と診断して抗うつ薬を渡す。それもSSRI。
患者サイドでは、「元気がない」「仕事がつらい」「うつみたいです」……とずるずる休み、
そして「真面目すぎるとうつになるだって……」と自分を納得させる。
あるいは対人関係がうまくいかず周りを傷つけて、時には自分もリストカット……。
「この苦しみは誰もわからない!」――と。
どれもこれもうつ病でいいのだろうか、と著者は言う。
その通りだと思う。
私たちは改めて「うつ病」というもの、現代社会の病理というものを
腰を据えて考え直すべきではないだろうか。
「うつを治す本」とは言えないかもしれないが、はぐらかされた感じも
難解さも感じない。むしろ元気になるのはなぜだろう。
それは、「うつの正体」が見えてくるからだと思う。
うつに苦しむ人間は、「うつの正体」がわからずに悩んでいる。
それを知っている人だから書けた本である。
うつ病の専門医として活躍中の野村先生の本なので手にとりました。
一般に出回っている病状等の解説書とはちがって、
「うつ」の歴史、解釈、これからの治療についてなどが、
文学などに題材をとって、くわしく、わかりやすく書かれているので
読み物としても興味深く読めました。
現在の「うつ病」ブームに一石を投じる良書だとおもいます。
うつ病関係の本は山のように出版されていますが、この病気について深く掘り下げ、かつ素人にも十分読みこなすことのできる本は、この本をおいてないと思います。話題は、うつ病の歴史、進化生物学、性格論、クスリの話など、盛りだくさん。しかし文章がわかりやすいのでちっともあきません。そして、現代のうつ病治療は「症状撲滅運動になりがちだ」と釘をさし、「悲しみがあきらめというリセットボタンにつながったときにうつ病は治ることが多い。『治療』とは、それができるまでの必要な時間に寄り添うこと、その間の苦痛を最小限にする工夫のことなのかもしれない」と述べています。うつを患う一患者として深い感銘を受けた本でした。